夜中というほどの時間ではないけれど、少し遅い時間に突然携帯が鳴った。
眠りについてから携帯が鳴るなんてこと、今までにはなくて。

それは、時間に構わず連絡をしてくる相棒が、俺よりも早く眠くなってしまうから。

だから、俺が完全に眠りについてから君から連絡がくるなんて、本来有り得ない筈なんだ。最初は今はもう朝で、目覚ましがなっているのかと思った。

でもはっきりしない耳に入ってくるメロディは、君が楽しそうに設定したもので。


少し戸惑いながら電話を耳に当てると、聞きなれた心地よい声が聞こえてきた。

「あー大石!明日寝坊すんなよ!」


………。

はい?

急になんなんだろう。


「……英二?何かあったのか?」

「いんや?何もないよ?」


内容のない電話ははじめてではないけれど、夜中に、というのは今までにないパターンだったから、何かあったのかと思ったけど、違うのかな。

でも、何も、と言うわりに、何か隠しているような、何か種明かしを楽しみにしているかのような声色だと思う。
いや、俺の推測だけど。


少し考えていたら、俺が黙ってしまった間大人しくしていた英二が、

「ごめん、なんもなくない!うそ!」

そして、少し間をあけて、





「大石誕生日おっめでと!」





あ。

そうか。



「……ありがとう」


嬉しいよ。
ありがとう。
でも早く寝ろよ?


そう笑いながら言ったら、
なんだよーもっと盛大に喜べよなー、と、やっぱり笑いながら返ってきて。


「プレゼントは明日な!」
のひとことで電話は切れた。



こんな誕生日ははじめてだ。
微笑いながら布団に潜ったのも、また。

これだから君といるのはやめられない。






日付が変わってぴったりに更新しようとしてものの見事に失敗した代物です。

それにしてもうちのカップルは相方に着メロを設定されすぎですね。