くー。 「英二、えーいーじー、ほら起きろ、って」 「……ん、ぅう」 周りには鮮やかな色の空き缶が数本、転がっている。 「大石、英二大丈夫か?」 心配そうな顔の寿司屋の息子が水を持ってきた。 「そんなに飲んでないはずだし、大丈夫だと思うけど…」 ありがとう、とひとこと言ってグラスを受けとる。 「英二、ほら飲めるか?」 「缶チューハイ一口でつぶれる人なんて初めて見たっス」 「だな。俺その倍以上飲んでんだけど」 「いいじゃない可愛くて」 「元凶が何言ってんスか」 「ボクじゃないよ姉さんのイタズラ」 例の如くでいつものように寿司屋で打ち上げをして。 そのあと、じゃあそろそろお暇します、と切り上げようとした相棒にまだやだと駄々をこねる菊丸の頭をぽんぽん撫でて、微笑みをたたえた天才が、ひとつ提案した。 うちで続きやろうか。 もちろん菊丸は同意、にこにこと不二に絡み付いていて、その他の愉快な仲間たちも、空気を読んだり、食べ足りなかったり付き合いだったりその他諸々の理由で結局全員同行した。 で。 「えーいーじ、ほら取り敢えず水飲んで」 「ぅうー…やぁだーねーるー」 軽食と甘いものをつまみながらゲームに興じていたレギュラー陣の目を盗んで、こっそりジュースの缶の中に酒を数本混ぜておいた美女が、不二周助の姉、不二由美子である。 そしてそのイタズラに引っ掛かったのが、青学の軽業師と曲者だったわけだ。 因みに眼鏡のデータマンとバンダナを外したマムシの手元にも回っていたのだが、海堂はジュース自体好まないので手をつけておらず、乾は見ただけで気づいたその上で別の人間のグラスに注いでいた。 「桃は面白くもなんともないね」 「そうだな。データにもならない」 糸目と眼鏡の、さりげなく酷い言い様である。 「缶1本くらいじゃ普通酔わないでしょ。リアクションが普通すぎてつまんないっス。っていうかリアクションないし」 そんな会話が繰り広げられている間、大石は菊丸を起こすことに専念し、河村は食器やゲームの後片付けに精を出していた。 その後、若干意識の戻った菊丸が近くにいた大石にキスをしたとか、していないとか。 天才不二周助が微笑みながら開眼、酔った人間と硬直した人間を引き剥がしにかかったとかそうでないとか。 酷い言いようにへこんだ桃城を1年生ルーキーが慰めていたとか、足蹴にしていたとか。 無言で帰り支度をはじめた後輩に、ドリアン頭が酒の残りを呑ませたとか呑ませていないとか。 不二が大石に凄むのを止めたのは、片付けを終えた河村になだめられたからだとか違うとか。 結局菊丸は大石に背負われて帰路についたとかついていないとか。 河村はその後不二からの親友に対する愚痴に延々付き合ったとか、付き合わされたとか。 まぁ大体そんな事が、青春学園テニス部の非レギュラー陣の間で、まことしやかに語られている。 ただひとつ、確実なことは、 男子テニス部の鬼部長が、未成年の飲酒に関して以前にもまして厳しくなったということだけである。 結局途中で行き着く先がわからなくなってきたので、特にカプは定まらないまま終わらせてしまいました。というか、大菊ですね。 今年の誕生日プレゼントには計画性が欲しいです。 結局キクマル総受けを諦めました。 この話の不二は英二を親友として大好きです。だからこそ悪い虫は排除せねばなのです(あれ大石悪い虫扱い…?)。親的な心境かもしれないです。 そして隆さんとハイパーに仲がいいです。 乾は薫ちゃんフォーリンラブです。 桃リョが成立しているかどうかは不明。お好きなようにご想像ください…! |