「……あの、いい加減機嫌直してくださいよ」

だいすきなひよしの声だ。
いつもなら、寝ぼけたふりで抱きついたり、ひざまくらしてもらったり、飛びおきたりするんだけどさ。

けど。

ひとつ、ためいきが聞こえた。

「いつまで寝てるんですか。……先輩たちももう帰りましたよ」

そ。
先輩たち。
その「先輩たち」のせいでおれは今こんなにゴキゲンナナメなんですー。

「………ばかぴよー」
「寝起きの第一声がそれですか」

じつはずっと起きてたんだなー。
気づいてんのかな?
どーだろ。
ちょぴっとほっとしたみたいな声と空気。

「ふんだ。ちくしょーあとべとでもおしたりとでも遊んでこいよー」

ちょっと困った、泣きそうなかお。
日吉の泣きそうなカオってさ、わかりにくいよね、多分。
おれはなんとなくだけど分かるんだけどさ、他のやつが見たらなんの前ぶれもなくなみだがぽろぽろ、って感じに見えるんじゃないかな。

「……もう、帰りますよ」

それはそれでかわいいとおれは思うけど、けど、やっぱりおれのせいで日吉がかなしいのはやだし、泣いちゃうのも、すっげー、やだ。
やだ。

さっきからずっと寝っころがってたソファの上でころん、と仰向けになって。
両手をのばす。

「おこしてー」
「いくつですかアンタ」

よし、泣きそうなのなおった。




――――ほんとはね、かまってほしくっていじけたふりしてただけなんだ、って言ったら、
おこるかな。
子供みたいだって言われちゃうかも。

でも。
そんくらい、すきですきでしょうがないんだよ?



あぁ、届くといいのになぁ。



Fin.



この曲がかわいくってすきなんです。
すきな方いらっしゃったら連絡ください。まなぶが盛り上がります。
ぴよサイドの話と事の経緯も近いうちにがんばりたいです。

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100104
ジローさんがいじいじしてたのはみんなで久しぶりに中学生冷やかしにきたら日吉が跡部やらばっかと試合してて燃えてたからです。下剋上。