チン、と短いトースターの音を聞いて、自分のカップに口をつけたまま扉を開ける。
朝の冷えた空気にふわりとパンの匂いが広がった。少しだけ考えて、トースターの扉を閉める。

半分程減った自分の白いマグカップをことんとテーブルに置いて、冷蔵庫から冷えた瓶を取り出す。気に入っていた(もちろん俺がではない)マーマレードはちょうど昨日の朝で切れたから、今日は赤いジャムだけ。いつものは棚に入れてあるけれど、手先の器用な同級生の手作りだから冷蔵庫に。いつもながらこれは割と好きだ。

「さて。さっさと起きてくださいよ」
「…うー……」
「遅刻してもしりませんよ」

頭から被っていた薄手の布団をべりっとはがす。
丸まって寝ている姿に声だけかけた。こんなもので起きるなら誰も苦労はしない。
だから本気で起こしてはいないのだ。
けれど起こした事実に変わりはない。一度定時に起こしたのにも関わらず起きないのだから、後で手荒に叩き起こして文句をたれようが一切の苦情は受け付けない。

しばらく新聞を読んで、今日の予定をぼうっと考えて、マグが空になって冷えた頃に、今度は叩き起こそうと立ち上がる。マグカップはついでに台所に。

つかつかと乱れに乱れたベッドに近づくと、閉じられていたまぶたが突然ぱちっと開いた。

「おはよ」
「おはようございます」

たまにあるお遊びだ。
いちいち声をあげて驚くことはいい加減なくなったけれど、一瞬驚くことには驚く。一瞬。

「お早くないですよ、遅いです」

遊びには続きがある。

「んー、おはよ」

ただでさえ高い体温をさっきまで巻き付けていたり両腕両足で抱え込んでいたりのタオル地の布団で余計に上げて、布団は足に引っ掛けたままベッドに子どもみたいに座ったままで前屈みに体を伸ばす。ベッドのスプリングが少しだけ音をたてた。

そして、またかと顔をしかめた俺の頬にキスをする。

熱いものが押し付けられて、照れでも恥じらいでもなく頬が熱くなった。





おおつかあいさんのStrawberry Jamがずっきゅーんときまして!
これ、は同棲してるのかな、してます、たぶん!大学生くらいで!
うちのジロ若はちゅーばっかしてるな!
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