チャイムが鳴り、しかし教室がざわついているのは然程珍しいことではない。
むしろ有りがちであると言える。
ではあるが、そのざわめきの内容が、このクラスについては若干、一般的と言えるものから離れた位置にあった。

「おい、日直誰だ?」
「あ、……………」
「オマエじゃね?」
「さっさと行けタコ!」
「ちっくしょ……」

この学校の制度では、存在するのは週番であるはずなのだが、何故だかこのクラスにおいて雑用やら何やらを押し付けられる担当は、日直なのである。
当然のことながら他クラスに日直は存在しない。

週番になった生徒の負担が大きすぎるというか、「1週間も耐えきれるか!」という意見がクラス内で正当だと判断されたため、実質的に日直制になったのだ。

日直の主な、というかほとんど唯一無二にして絶対の職務は、担任にホームルームをさせることである。
これだけで精神的に疲れ果て、その日1日中眠気やだるさと戦う者も多々あるが、まぁ皆頑張れ、ということで。

先ほど渋々立ち上がった彼は、「今日は来てないだけマシか……」と呟いて何処かに消えた。
普通は「来てるだけマシか……」ではないのかというツッコミはこのクラスでは通用しない。
何故なら彼の呟きは学級全体の共通意識だからである。

本日の日直が消えて数分後、ドタドタと騒がしい足音と文句のような声が聞こえ、勢いよくドアが開いた。

「悪ぃな、待たせて。ホラ、多分あと3分くらいで起きるから」

別のクラスの担任のはずのポニーテールの教師に半ば引きずられるように背負われて、やっとのことで担任が登場した。

生徒たちも慣れたもので、その言葉に誤差こそ生じるものの嘘はないと承知している。
担任が教室に来ていなければ、大方この若い教員かもうひとりのおかっぱの教師が引きずってきて起こすところまで乱暴ながらもやってのけてくれる分、日直の負担は激減するのである。
自分たちの担任を届けにきた兄貴気質の教師の「ほら起きろって!あ、じゃあな!」の声を聞きながらホームルームが開始すれすれまでもつれ込むだろう1限の準備やらをしていた。

大きすぎるサイズの淡いセーターを着て、それに合う淡いふわふわの金髪の2−D担任芥川慈郎は、明らかに寝心地のよくない教室の床で気持ち良さそうに寝ている。



[ SHR終了! ]




やっちゃいましたー……。
すっごい書いてて楽しかったです。すっごい!

クラス分けはもうしてあるので(あみだで!)次から他の面子もばしばし出したいと思います。
つまり、今回出てきた石田くんたちに今後出番があるかは謎です。
あと、ここの石田君は峰の石田君と師範と何の関係もないです。(書いてからやべ、ってなった)