始業のチャイムが鳴る5分前。
他の授業の前であれば、自分の席について読書に勤しむなり、屋上へと続く階段をゆったり登るなりしている時間だ。
けれど今の俺は、黒板の前に立ってつらつらと英文を書き連ねている。



(文字を書く位置に注意して。)



「おー、ちゃんとやってんなー!」

いつものように勢いよくすっぱあん!と音を立てて引き戸が開いた。

「あぁセンセ、もう終わるで」
「いよっし、えらいえらい」

背中をバンバン叩かれる。
容赦なく叩かれる。
別にさほど痛くはないのだけれど。
たまに、と言っても他の人間に比べればかなりの頻度で指名される授業。
「担任サマの授業サボってんじゃねえよ!」というお説教の後、「罰ゲームな」ということで英訳の宿題を授業前に書いておけとの指示に従って以来、指名の回数が増えた。

「やーっぱし、侑士に任せっとラクでいいなー」
「それ職務怠慢と違うの?」

アルファベットを並べる手を止めて振り返りながら小さく笑うと、軽いキックが返ってきた。

「うっせシゴトはしてんだろ」
「えー、何?」
「サボりの常習犯の更正」

に、と笑って見上げてくる。

「ほらさっさとコタエ書け成績オンリー優良児」
「どうせセンセもエスケープしとったクチやろ?」
「小っさいこと気にしてるとハゲんぞ」

めいっぱい伸ばした人差し指がぺち、と額にぶつかった。





かなりの間拍手お礼として頑張ってくれました。

岳人先生は英語の先生。
侑士くんは岳人先生のクラスです。
アミダのくせにすごい。

先生パロは書いててもんのすごい楽しいです。