<昼休み、教室にて>と関連してます〜 「芥川!宍戸、向日!!この後すぐ職員室に来なさい!」 一日の授業が終わり、やっと部活に行ける、という少し軽くなった空気に、ぴりぴりと神経質な声が切り込んだ。 その声は、ホームルーム終了の挨拶を済ませてざわめきが目立ち始めた教室の、楽しげな空気を冷やすのに充分なものだった。 「ほいジロ、部活いふほ」 「亮、しゃべれてない喋れてない」 「ん。っせーな、口開けらんねんだからしょーがねぇだろが。つかお前が起こせばいいだろ」 慣れた手付きで、髪をまとめている間くわえていた黒のヘアゴムで結いながら、足で目の前の机を軽く揺らす。 「起きろー、ぶーかーつー行ーくぞー」 「もういい岳人殴れ」 クラス中の嫌悪と怯えの視線の中心にあるものなどには目もくれず、自分たちの行動を止めもしない。 「そこの3人!私の話を聞いているのか!」 髪をテカる程固めた眼鏡の教師が痺れを切らせて、教室へズカズカと踏み込んできた。 「んぁ……、あー終わったー?」 「おう、ほらさっさとカバンまとめろよ」 「うん」 「人の話を聞けと言うのが……!」 いつの間にやら目の前に来ていた教師がバン、と机に手を置く。 「お前たち、教師であるこの私を愚弄しているのか?!なんだこれは!」 いちいち偉そうなその教師が鼻先に突きつけてきたのは、 「<中等部第一学年 社会科 歴史分野小テスト」 「〜ハイレベル〜>ですねェ」 にやにやと笑いながら上目で見上げて答えたのは、向日と宍戸。 「そういうことを言っているんじゃない!」 顔を真っ赤にして怒鳴り散らす中年の社会科教師の声をBGMに、勝手に話し進める。 将来大物になりそうだ。 「何オマエらも何かやったワケ?」 「どーせお前もなんだろ?」 「おれ別になんもしてないよ〜?」 「ん?」 3人同時に見上げた解答用紙は。 【過去は振り返らない主義です。】 解答用紙いっぱいにでかでかと、その一文の下には、 【宍戸亮】 解答欄ひとマスひとマスごとに小さな絵がびっしりなものは、 【向日岳人!】 まっさらの白紙、少しよれた解答用紙には、眠そうな、ゆらゆらとした文字で、 【あくたがわじろー】 「おっ前、何だよこれパラ漫?」 「おう、後でハサミ貸せ」 「持ってねーよ」 「ここのロッカーにカッターあったよー」 「じゃあジロー任せた!」 「任された!」 「つーか無駄にクオリティ高ぇな!」 「岳人こーゆーの得意だよねー」 「1時間いっぱいかけた超大作だからな!」 「つーかよ、すげぇな3人同時かよ!」 「だからおれは何にもやってないって〜」 「まぁ、ジローの場合いつもどーりっちゃあいつもどーりだもんな」 「でもでも、ふたりとおそろいだし、いっかぁ〜。ずーっといっしょだもんね〜」 「まぁ伊達に幼なじみやってませんよ、ってことだな!」 ++++ 「で、その後めちゃめちゃ力入れたレポート提出したんだよ」 「そんなことするくらいならなんでちゃんと小テストやらなかったんですか!」 放課後の部室、昼間の話の詳細を聞きたがる鳳に、またも手をぐいぐい引っ張られてきた日吉と、やらかした張本人3人がいた。 「アイツが!嫌いだったんだよ」 「そうそ、細けぇことネチネチネチネチ説教してきやがってさ」 「みんなきらいだったよ?それに、ししどの髪のことも何かすっげー言ってきたC〜」 「学年にもうひとり社会の先生いたから、そっちにレポート出して、終わり」 「んで噂だけ広まってんだな、多分」 あっさりと言う先輩たちに、後輩は驚いて呆れて。 ある意味、この人たちには一生かかっても敵わないんじゃないかと思った。 いやぁ、楽しかった! この3人書くのはやっぱりたのしいですね。 これ書いたのはアナザーストーリー見る前だったんですが、見てしまった今、また何か書きたいです。 幼なじみー!って感じなものを。 名前呼びは正義!! |